骨格性Ⅱ級のAngle I級叢生症例における非抜歯治療の成功事例
2024.08.23
こんにちは、池袋の歯医者さん みんなの矯正歯科・こども歯科クリニックです。今回は、骨格性Ⅱ級のAngle I級叢生症例における非抜歯治療の成功事例をご紹介します。患者さんの状態がどのように変化していたのかということについて詳しく説明させていただきます。専門用語を使って説明をさせていただきますが、その理由としては専門用語を使わないことによって誤解を招く可能性があるためです。それを防ぐために使用させて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします
症例の概要や治療経過、最終的な治療結果について詳しく解説しますので、同様のお悩みをお持ちの方はぜひ参考にしてください。
症例概要
30代 女性
主訴(患者さんが具体的に治したい部分。矯正治療に期待する部分)
歯並びの凸凹や前歯の突出、そして深い咬み合わせが主な悩みでした。全身の健康状態には問題はなく、顔貌においても正面は左右対称、側面な少し突出感が見られる程度。上顎前歯が唇側に大きく傾斜しており、全体的に上下顎の歯列が狭窄している状態。
※深い咬み合わせ → 噛み合わせが深いことを過蓋咬合もしくはディープバイトと呼ぶことがあります
※前歯が唇側に大きく傾斜 → 前歯が前方に傾斜していることを、「フレアーしている」と歯科医師は表現します
※歯列が狭窄 → 歯列の狭窄には①V字歯列弓②狭窄歯列弓③鞍上歯列弓と呼ばれるものがあります
診断と治療方針
診断の結果、上顎前歯の唇側傾斜と上下顎の狭窄した歯列弓を有する骨格性Ⅱ級のAngle I級叢生症例と診断しました。通常、このような症例では抜歯を行い、歯列のスペースを確保することが一般的ですが、患者さんの口元の突出感が軽度であることや、側貌の改善が必要ないこと、そして歯列弓の拡大が可能であることから、今回は非抜歯での治療を選択しました。
具体的な治療計画として、インビザラインを用い、6-6間で4ミリ側方拡大し、IPR(インタープロキシマル・リダクション)を行うことで、叢生の改善を図りました。抜歯を行わずに治療を進めるためには、適切なタイミングでIPRを実施し、歯根吸収や歯肉退縮を防ぐことが重要でした。
※IPR → IPRは歯が並ぶスペースを確保するという目的もありますが、基本的にはボルトン分析を参考にし上下の噛み合わせを構築するために行います。よく歯科医師の中にも「IPRを行わない」という歯科医師もいますが、これはボルトン分析を参考にしていない状況です。IPRはどの患者様に対しても必ず必要な措置となります。池袋みんなの歯医者さんでは、これまで1,000名以上の患者様を治療を行ってきましたが、ボルトン分析がゼロになることもなく、必ずどんな患者様に対してもIPR処置は必要となります。
※歯肉退縮 → リセッションとも呼ばれる状況です。矯正治療において特にマウスピース矯正ではとても多い副作用です。
実は…ワイヤー矯正ではとても起こりにくい症状でした。なぜならワイヤー矯正というのは歯を作るスペースが「後ろにしか移動できなかった」ためです。
マウスピース矯正の場合、歯を『前にも後ろにも、上にも下にも動かすこと」ができ、ありとあらゆる方向には動かすことが可能です。
これはメリットにもデメリットにも作用します。歯科医師が歯肉退縮のリスクに対して間違った治療計画を立案してしまうと、リセッションが引き起こされるという欠点があります。当院ではこのリセッション(歯肉退縮)に対して充分な配慮を行ないながら治療を行ないます。また万が一起こってしまったとしても、それに対する歯肉弁移植術や再生療法などもすべて完備をしております
【治療経過】
治療はまず親知らずの抜歯を行い、その後インビザライン治療を用い、叢生の改善、スピーの湾曲改善、レベリングを行ないました。ざっと60%ほど歯並びを治したという状態です。歯列弓の側方拡大を行いながら、IPRも適切なタイミングで実施し、全体の治療期間は約1年6カ月になりました。
【治療結果】
治療の結果、患者さんの叢生は大きく改善され、歯列弓の拡大も成功しました。上顎の歯列弓は次のように改善されました。
【上顎】
第一小臼歯 43.0mm → 45.0mm
第二小臼歯 42.0mm → 46.5mm
【下顎】
第一小臼歯 37.0mm → 38.0mm
第二小臼歯 34.0mm → 38.5mm
【その他】
オーバージェット +6.0mm → +2.5mm
オーバーバイト +4.5mm → +2.0mm
動的治療終了後、2年経過した現在も、治療結果は非常に良好で、前歯部や臼歯部の咬合関係は安定しています。治療を進める際には、iTero等の3Dスキャナーまたは3Dプリンターを用いたデジタルセットアップ模型を使用し、効率的な設計と管理を行いました。これにより、歯列弓の拡大の状況を確認することができました。
※オーバージェット → どれぐらい歯が前に出てるかと言うことを指します。上の歯と下の歯の前歯の差を計測し、5mm以上あると上顎前突、いわゆる出っ歯と診断されます。ただしオーバージェットには気をつけなければいけない点があります。例えば上の前歯の位置が正常であったとしても、下の前歯の位置が後ろに下がっている場合、上顎前突と診断されることがあります。この場合、見かけ上の出っ歯と呼ばれ、上の歯を後ろに下げるのではなく、下顎を前に出す処置を治療を行うこととなります
まとめ
今回の症例は、非抜歯での治療が成功した好例として紹介させていただきました。狭窄した歯列弓や叢生を持つ患者さんに対しても、適切な治療計画を立てることで、抜歯を行わずに良好な治療結果を得ることが可能です。矯正治療においては、患者さん一人ひとりの症例に合わせたオーダーメイドの治療計画が重要です。
もし、同じようなお悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院へご相談ください。池袋の歯医者さん みんなの矯正歯科・こども歯科クリニックでは、最新の技術と経験豊富なスタッフが皆様の健康的な笑顔をサポートいたします。
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