「プレオルソ」こども歯ならび矯正法 アドバンスコース
2024.08.05
こんにちは!池袋の歯医者さん みんなの矯正歯科・こども歯科クリニック院長の新渡戸康希(にとべこうき)です。今回は…プレオルソ小児矯正の教科書を使って勉強していきましょう。
プレオルソこども歯並び矯正法・アドバンスコースの教科書を基に考えていきます。既成のマウスピース型矯正装置を理解することはとても重要です。実際にはプレオルソのみならず、マイオブレース、T4K、EF Line、ムーシールドなど様々な種類がありますが、ここではプレオルソを例にとってしっかりと学習していきましょう。それでは、その教科書を学んでいきます。
※教科書の内容は複製したものではなく(著作権の都合上)、池袋の歯医者さん みんなの矯正歯科・こども歯科クリニック院長の新渡戸が重要事項を要約したものとなります。

「プレオルソ」こども歯ならび矯正法 アドバンスコース 教科書
【私が考える診断】 ※私とは、プレオルソ装置を開発された大塚先生の事です。
実際の診断・治療は矯正治療の現場でどうなっているのでしょうか?
「プレオルソ」こども歯ならび矯正法の定義
「プレオルソ」は、「マウスピース型矯正装置」を使い、この装置を利用した口腔周囲機能訓練(MFT)を行いながら、「歯ならび」と「咬み合わせ」だけでなく、「正しい舌の使い方」や「口呼吸・鼻呼吸」などの機能的な治療を行い、「子どもを健康に導くことを目的とした」第Ⅰ期(混合歯列期に行う小児矯正治療)の治療法です。

【新渡戸の目線!】
大塚先生の発言から注目すべき点はⅡ点あります。
『大切なポイント①』
まずは成長発育を利用するということです。子供はこれから成長していきます。歯も生え変わるし、身長も大きくなり、顎の深さやアーチも大きくなっていきます。この成長発育を利用するというところが大きなポイントです。
よく成人矯正のみを行ってきた先生は、この点を考えないことが多いです。
成人矯正と同じようなアプローチで小児矯正を行ってしまうため、失敗に陥ってしまいます。小児矯正を理解するためには、まず小児歯科をしっかりと理解しましょう。
『大切なポイント②』
『混合歯列期に行う治療である』
ここがとても重要なポイントです。この点に関しても、小児矯正ではなく小児歯科学をしっかりと学ぶことが重要です。
『混合歯列期とは何か?』
ヘルマンの歯齢でⅡC、ⅢA、ⅢBを指します。

ⅡCとは、1番と6番が萌出を開始する時期
ⅢAとは1番、2番、6番が萌出完了する時期
ⅢBとは側方歯群の交換期で、C、D、E → 3、4、5番に生え変わる時期
ここで重要なポイントは、ヘルマンの歯齢における萌出の定義です。
ⅡCは、1番と6番が萌出を開始する時期
ⅢAは、1番、2番、6番が萌出完了する時期
ⅡCは「みにくいアヒルの子時代」
※1番と6番が萌出し始めたらヘルマンの歯齢ではⅡCに分類される。側切歯(2番)が萌出完了するまで、正中離開となる子供が多い。
ⅢAは「みにくいアヒルの子時代」が終わる時期。1番・2番・6番が萌出完了、すなわち、側切歯の萌出により、みにくいアヒルの子(正中離開)が閉鎖するためです。
ちなみに…ⅢAの時期がもっとも側方拡大の効果が発揮される時期。すなわち…
小児矯正は、小学2年生に側方を行うと、もっとも成長発育を利用した治療となる。ゴールデンエイジをフル活用した治療と言えるので、是非、小児矯正を始めるなら少なくとも小学2年生までに親御さんにすすめてあげるようにしましょう!
次に、ⅢBとはC、D、Eが3、4、5番に生え変わる時期。側方歯群の交換期
この時期はいわゆるカスタマイズされたマウスピース矯正、インビザライン・ファーストに代表される矯正装置が最も合わなくなります。
なんで、ⅢB(側方歯群の交換期)に、インビザライン・ファーストは向かないの?
新渡戸がお答えしましょう!

①印象を取っても、1ヶ月後にマウスピースが届く頃には合わなくなってる
→ また追加印象が必要になる
②治療期間が1年半しかなく、追加アライナーばかりで、なにも治療が進まずに期間終了する可能性が高い。
③歯の動揺により合わなくなる、歯の萌出により合わなくなる、小学3年生~小学5年生までは歯の交換が何度も起こる。
いいですか?C、D、Eって何本ありますか?合計12本です。 ※上下左右
右上Dが動揺して合わなくなる → スキャンする → マウスピース届くころには1カ月に0.75mm乳歯が萌出するので、合わない
さらに…
右上Dだけじゃなく、左下Dも要注意乳歯の状態になった → 抜歯する → 追加印象 → また追加アライナーset
永遠、こんなことを繰り返すことになりますよ!
ⅢBでのインビザライン・ファーストは禁止です!というよりも、やったら分かります…
『あっ。新渡戸先生の言うことは正しかったな…言うこと聞いておけばよかった…』
そうなる前に、ヘルマンの歯齢のⅢBとは何かを理解しましょう!
このⅢBの時期、側方歯群の交換期にインビザライン・ファーストを行ってしまうと多くの場合、失敗することになります。これはインビザライン・ファーストが悪いと言っているのではなく、それを扱う歯科医師が小児歯科を理解していないためです。
ですので、これから小児歯科を学ぶ先生方にとっては、このⅢBの時期こそ
最もプレオルソが有効
であることを理解してください。

【では、拡大床は?】
拡大床もダメです。なぜなら…
ⅢA~ⅢBは最も成長発育がある状態なのです。すなわち、顎骨も筋肉も顎の深さもすべて成長します。
もし拡大床するなら…
『毎年、装置を新しく作成してください。』
これしか言えません。でも、新渡戸も全国の先生を見てきましたが…1人もそんな先生はいません!結局、小学2年生で作った拡大床をワイヤー矯正ができる小学6年生まで無理やり使用しているだけ!
セファロ分析や模型作成も一切せず、途中経過も確認しない!これでは医療とは呼べません。
顎のサイズが大きくなっているのにもかかわらず、それを再製作することもない拡大床は新渡戸の治療哲学からは大きく外れる治療法であり、今現在、考えられる中ではプレオルソがベストです。なぜなら、1年に1回、プレオルソのサイズを交換するだけだからです。ですから、ⅢBの時期はプレオルソが最も有効だということが言えます。
また、教科書の内容に戻ります!
【一般的な分析方法】
私(※私とは、プレオルソ装置を開発された大塚先生の事です。)の診断はリケッツ分析です。矯正専門医の中でよく使われている分析方法ではないでしょうか?しかしながら、国家試験ではダウンノースウエスタン法やTWEED法などが主流です。
診断方法は多種多様です。
リケッツ法
シュタイナー法
マクナマラ法
ダウンノースウエスタン法
アレキサンダー法
ウィッツ法
TWEED法
KIM法 など
しかし、どんな診断をしても上顎前突が下顎前突になることはありません。
【私の考える診断について ①】 ※私とは、プレオルソ装置を開発された大塚先生の事です。
矯正治療は診断が大事だといわれます。従来の矯正治療では、模型・写真・セファロなどを分析して診断をつけるのが常道です。
ある矯正専門医が診断をすると…
「A症例は上顎が劣成長で、下顎が過成長のⅢ級だ。だから、拡大装置と上顎前方牽引で行きましょう!」
他の矯正専門医が診断をすると分析方法が変わるため…
「A症例は上顎の位置は正常で、下顎が過成長のⅢ級だ。だから、チンキャップだ!」
このように異なる診断が出ることがあります。どれも間違ってはいません。
【診断から装置の選択まで】
今度は実際に使う装置です。矯正専門医でも使ったことがない装置については、やはり自信があまりありません。分析では「拡大装置と上顎前方牽引でいきましょう!」となりますが、担当の先生がこれらの装置に慣れていない場合、先生が使い慣れているチンキャップを使うことが多々あります。
患者さんがチンキャップを嫌がる場合、顎内装置であるFKO(アクチバトール)をセットすることもあります。しかし、今度は装置が堅くて嫌だと言われることもあります。
最終的に矯正専門医はプレオルソ装置を装着しました。
診断って何だったのでしょうか?
結局、セファロを見るまでもなく、上顎前突は誰が見ても上顎前突です。下顎前突は誰が見ても下顎前突です。叢生は誰が見ても叢生です。誰が見ても診断名を間違えることはありません。

【新渡戸の目線!】
セファロ分析についてお伝えいたします。セファロ分析はとても重要です。国家試験でも必ず問われる内容ですし、矯正治療においても欠かせない分析法です。ただし、私(新渡戸)はいくつかの点において疑問を抱いています。
大塚先生が述べられている通り、診断方法は数多く存在し、どの分析方法を用いるかによって結果が異なります。
『まずは、信頼できる分析方法を先生自身が研究する必要がある』
セファロ分析の基準値はアメリカやヨーロッパの人の骨格を基にしていますが、これが日本人の骨格には必ずしも適していない場合があります。さらに、これらの基準値はかなり昔に設定されたもので、現代の骨格とは異なることが多いです。例えば、1960年代の日本人と2020年代の日本人では骨格や身長、体重などが異なります。このような状況で、古い基準に頼ることは問題があります。
また、セファロ分析は治療の開始前と終了後にしか行われないことが多いです。本来であれば、治療の途中でも何度も分析を行い、基準値に達していない部分を修正していくことが望ましいです。しかし、最初と最後にしか分析を行わないのであれば、セファロ分析の意義が薄れてしまいます。ですので、セファロ分析を行う際には、治療を始めてから1年後に必ず行い、改善点を確認し、必要な場合は再度治療計画を立てるべきです。そして、さらに1年後に再度分析を行うことが重要です。
矯正装置に関して、大塚先生がおっしゃる通り、矯正医は結局、自分が得意な治療法を用いることが多いです。例えば、ワイヤー矯正のみを行う医師は、何が何でもワイヤー矯正に頼るでしょう。
今後、学習を進める際には、現代に合わせた治療法を取り入れることが重要です。後発医療は先発医療の欠点を改善したものです。例えば、拡大床は次の特徴があります。
①側方拡大しかできない
②痛みや違和感がある
③上顎のみしか拡大できない(上下とも使用している症例が極めて少ない)
④前方拡大ができない
このようにデメリットが多いのが拡大床です。これらの欠点を全て克服したのが後発医療であるプレオルソです。
したがって、このような様々な症状を改善できる矯正治療について学ぶ必要があります。今後はぜひプレオルソを取り入れ、学習を進めていきましょう。
今回はプレオルソの教科書を用いて学習を行いました。今後もこのプレオルソの教科書を用いた学習を継続していく予定です。ぜひご期待ください。
外部リンク
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