プレオルソ装置の使い方。選択方法。 マスタークラス
2025.03.14
「Ⅰ期治療の限界」
プレオルソに限らず、小児矯正における拡大で入り切れなかった犬歯等は唇側から萌出してきます。
ここからインビザラインファーストや2×4の出番となります。
ただし…注意点があります。無理やり並べると、前歯は唇側へ出てしまい、いわゆるバイマックス「上下顎前突」 になります。

「プレオルソをⅠ期治療で使用する」
口腔周囲筋のトレーニングを同時に行うことができます。
このトレーニングによって、 口元が閉まり顎の位置が変わります。プロファイルの見え方が変わることとなります。
「バイマックス (上下顎前突) は正常か異常か?」
レベル後のバイマックスについて、どのように歯科医師の皆様は考えますか?
私、新渡戸康希は否定派です。なぜなら、患者さまやご家族からしたら…
・矯正して最初はすきっ歯になった。(拡大床の悪い点)
・2×4で出っ歯になった。(ワイヤー矯正の悪い点)
これでは、多くの患者さまが満足できるとは思えません。
また保護者の方も「すきっ歯、出っ歯」の状況は受け入れがたいと思います。
バイマックスの主訴となる、 口元が出ている事に対しての根本的な治療は、 抜歯しかありません。
矯正専門医の多くが抜歯の判断基準としているのは、セファロ分析による切歯の角度です。
★下顎前歯の立ち方1APO 標準値3.0MM
★上下前歯の角度・IA・アングル 標準値135-140度
★上顎突出度

「Ⅱ期治療は、抜歯か非抜歯かが重要」
矯正治療を日常的に行っていると、患者や保護者様から聞かれる質問で最も多い内容は…
「歯を抜かなければいけませんか?」
一般的な診断は抜くか、抜かないか。
ワイヤー矯正の場合、これは「上下前歯の角度」、 これにつきます。
7番が完全に萌出できるかどうか?という、実はとても大きな問題には触れないことが多い。
だからワイヤー矯正はダメなんです!
「切歯のポジションで抜歯・非抜歯を決定するのではなく、6番の近心頬側根がキーリッジの直下にあるかどうか?」で抜歯基準は判断されるべきです。
患者さんは、ほぼ100% 「歯を抜かない矯正」を望んでいる。
しかし長期間安定し、7番が完全に萌出できるかが重要
暦年齢と齒年齢は一致しないことが多い。精神年齢を訴える歯科医師もいるが、現代には不向きな考え。
差別的な表現であると考えます。歯科医師の中には患者を「人ではなく、治療として見る」方も多くいらっしゃいます。平気でそのような表現をする人もいますが、私、新渡戸はそんな歯科医師を認めません。
自分に非があるかもしれないのに、相手の精神年齢が低いと考えるのは医療人として失格であると考えます。
「成人矯正の診断」
「歯を抜くべきか、抜かないべきか、果たしてそれが本質的な問題なのか?」
100歳まで(寿命が尽きるまで)今の歯ならびを維持できるのか?
私、新渡戸康希の尊敬する歯科医師の言葉。
函館ラサール高校の先輩でもある歯科医師です。
「後戻りする矯正治療は失敗」
本当にその通りだと思います。
私はこのことを常に念頭において診断しています。

上顎前突「AngleⅠ級」
プレオルソ治療はとてもシンプルです
鉄則
「タイプⅠを使用する」
「叢生の有無にかかわらず、拡大を行う」

下顎前突「AngleⅢ級」
①基本はプレオルソ タイプⅢを使用します。
②被蓋関係が正常被蓋になったら、タイプⅠで拡大を行います。
側方拡大の力は…
タイプⅠ > タイプⅢ
プレオルソ タイプⅢは世界でも珍しい、タイプⅢ専用マウスピースです。
本当に使用方法を間違わなければ「3~6ヶ月」で反対咬合が改善します!
新渡戸が保証します!ただし、しっかりとした矯正学の診断や知識がある場合のみです。
コラム
最近、あまりにも矯正の知識がない歯科医師が多すぎます。
安易にマウスピース矯正に手を出して、失敗している。
失敗と気付く歯科医師はまだいいです。「新渡戸先生、どうしたらいいですか?」と質問してくれます。
問題は…
勉強もせずに失敗に気づかない歯科医師です。
本当に全国でもこのような歯科医師が多すぎます。
1年に1回も勉強会に参加しない。家庭の事情で忙しいのは分かりますが…でも。YouTube見る時間があるなら、オンラインで勉強すべきですね。そうでないと患者も保護者もスタッフもみんな、かわいそうです。

上記は東京医科歯科大学の論文です。
「1歯のみ逆被蓋の時の注意点」
被蓋改善後、CO=CRではなく、下顎が下がることが多い。
すなわち、CLASSIがCLASSⅡになることが多い。
【CO(中心咬合位)】
上下顎の歯が最大に当たっている状態。普段噛んでいる位置でかんだときの咬合位
【CR(中心位)】
上下顎のバランスが安定した、リラックスできる位置で咬める状態
顎をリラックスした状態でゆっくりと口を閉じた状態
COは中心位(顆頭位)と上下歯列の位置関係(咬合位)の概念を併せ持った用語です。

「1歯のみ逆被蓋の時の注意点」
じゃあ結局、1歯のみの逆被蓋の場合、どのように治療したらいいですか?
答え
「タイプⅠ」で治療します!
ここで重要なポイント!

「3本までは逆被蓋」
「4本以上が反対咬合」
歯科医師の中には、前歯が逆に咬んでいると…
「反対咬合ですね。」という人がいますが、間違っています。
3本までの逆被蓋は反対咬合とは呼びません。定義されません。
ですので、何でも反対咬合という先生は今後、気を付けてください。
小児矯正であっても、診断が重要です。
なんでも拡大床で治療するのでなく、患者に合わせた装置を使用してください!
また装置ありきなのでなく、自分の得意なモノしか使わないのでなく、とにかく「患者のためになにができるか?」を真剣に考えてください。抜歯ができない、むし歯治療できない、CAD/CAMできないでは、患者のためになりません。
歯科医師である以上、しっかりとした技術を身に着けてください。