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完全埋伏の親知らずを残すケースと抜くケースについての私の判断基準

みんなの矯正

2025.12.03

池袋の歯医者さんみんなの矯正歯科・こども歯科クリニック
〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目2−1 ウィックスビル 9階
電話番号 03-6907-3967

親知らずの扱いは、マウスピース矯正の治療計画において非常に重要な要素です。
私は基本的に、萌出している親知らずは100%抜歯すべきだと明確に判断しています。
しかし「完全埋伏の親知らず」は状況によって残すケースもあれば、抜歯すべきケースもあります。

この判断は、
・遠心移動を行うか
・スペースが必要か
・感染リスクがあるか
・歯列全体の動きに干渉するか
これらを総合して決めています。

私自身の臨床経験に基づく“新渡戸式の基準”を明確に説明します。

 

 

完全埋伏の親知らずとは

完全埋伏歯とは、親知らずが歯茎や骨の中に完全に潜り込んでおり、口腔内に見えていない状態の歯を指します。
萌出している親知らずと異なり、清掃性が悪い、虫歯になるといったリスクは低く、ほとんどの場合、普段の生活で支障を与えません。

しかし、矯正治療では「どの方向に歯を動かすのか」「後方スペースを使うか」によって、この完全埋伏歯が大きく影響します。

 

 

私が完全埋伏歯を“残して良い”と判断するケース

私は以下の条件を満たしている場合、完全埋伏の親知らずは残しても問題ないと判断します。

1 遠心移動を行わない場合

遠心移動を予定しない場合、後方スペースを使わないため、完全埋伏歯が治療の邪魔にはなりません。
骨内に留まっており、歯列の動きを妨げることがほとんどないためです。

2 歯根が近接していない場合

7番の歯根と完全埋伏歯が接していない場合、歯の移動に影響しません。
X線で根尖が近い場合は注意しますが、多くのケースでは問題ありません。

3 将来的な感染リスクが低い場合

完全埋伏歯が深い位置にある場合、感染リスクはほぼゼロです。
歯周ポケットとも接しておらず、矯正治療中にトラブルを起こす可能性も低いため、私は無理に抜歯しません。

完全埋伏の親知らずを残すケースと抜くケースについての私の判断基準

私が完全埋伏歯でも“抜歯すべき”と判断するケース

完全埋伏歯であっても、以下の条件を満たす場合、私は抜歯を推奨しています。

 1 遠心移動を行う場合

私の治療計画では、遠心移動は最大で上顎4ミリ、下顎3ミリ行います。
完全埋伏歯があると、この後方スペースが不完全となり、7番の遠心移動が止まります。

遠心移動を行う=後方にスペースが必要
埋伏歯がスペースを潰す
→ 動かない
これは臨床で何度も確認した結果です。

完全埋伏の親知らずを残すケースと抜くケースについての私の判断基準

2 歯根の形態が接触しており、移動を妨げる場合

7番の歯根と完全埋伏歯の歯冠が近接していると、計画上の遠心移動が止まってしまいます。
マウスピース矯正の動きはミリ単位の精度で管理するため、わずかな干渉でも治療が破綻します。

 3 埋伏歯の方向が悪く、将来的に感染リスクがある場合

埋伏歯が水平、あるいは前方に向かっている場合、7番に圧をかける可能性があります。
将来的に感染や嚢胞形成のリスクがあるため、矯正前に抜歯を行う方が安全です。

 

完全埋伏歯に関する私の最終判断基準

私は以下のシンプルな基準で判断しています。

【残して良い】

遠心移動をしない
7番と干渉しない
深い位置で感染リスクが低い

【抜歯すべき】

遠心移動を行う
7番の移動を妨げる位置にある
将来リスクが高い方向に埋伏している

この判断基準は、私がこれまでの臨床で経験した「動かない症例」や「治療が停滞した症例」から導き出したものです。

マウスピース矯正は、治療計画通りに動いて初めて意味があります。
だからこそ、親知らずの状態を正しく評価することが治療成功の鍵になります。

 

まとめ

完全埋伏歯は、萌出している親知らずと違って必ず抜歯が必要というわけではありません。
しかし、治療計画によっては明確に抜歯すべきケースがあります。

私の結論は明確です。

遠心移動を行うなら必ず抜歯
遠心移動を行わないなら残して良いことも多い

これは、治療の再現性と安全性を両立するための判断基準です。

 

池袋の歯医者さんみんなの矯正歯科・こども歯科クリニック
〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目2−1 ウィックスビル 9階
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