抜歯・非抜歯の境界線はどこ?「合計14.1mm」のロジック
2026.03.18
クリンチェックを作成する際、「この症例は抜歯すべきか、非抜歯で行けるか」と頭を悩ませることはありませんか?
今回は、私が普段の臨床で何を基準にその線引きをしているのか、そのエッセンスをお話しします。結論から言うと、私は**「非抜歯で確保できる最大スペース」**を数値化して判断しています。

1. IPRで確保できるスペース:5.5mm
IPRは基本的に「6番の近心〜反対側の6番近心まで」行うことが多いです。この場合、11か所のIPRを行うことが可能です。
11か所 × 0.5mm = 5.5mm
これだけで、5.5mmのスペース確保が可能になります。小臼歯1本の大きさが概ね7mm〜8mm程度であることを考えると、かなりの量ですね。

2. 遠心移動で確保できるスペース:8.0mm
次に「遠心移動」です。上顎4mm、下顎3mmの遠心移動が可能と考えています。
上顎の場合、右上7番・左上7番をそれぞれ4mmずつ遠心移動することができるため、合計は以下のようになります。
4mm × 2(右上・左上) = 8.0mm
3. 側方拡大で確保できるスペース:0.6mm
また成人矯正であっても、側方拡大は可能です。3番〜3番の間で、1mmの側方拡大を行います。
ここで注意が必要なのは、**「1mm拡大したからと言って、1mmのスペースができるわけではない」**という点です。側方拡大には公式があります。
側方拡大の公式
『側方拡大量 × 0.6』
よって、3番の間を1mm側方拡大した場合、確保できるスペースは以下になります。
1mm × 0.6 = 0.6mm
【結論】非抜歯で改善できる限界値は「14.1mm」
これらをすべて合わせると、上顎で確保できる合計スペースが算出できます。
IPR: 5.5mm
遠心移動: 8.0mm
側方拡大: 0.6mm
合計:14.1mm
つまり、**14.1mmまでのスペース不足(出っ歯・叢生・フレアー・狭窄歯列弓)は、「抜歯しなくても、改善できる」**となります。
逆に、抜歯を選択する基準は非常にシンプルです。 「上記をすべて行っても、スペースが足りないなら、抜歯」 このようになります。
視点が変われば、診断に迷いがなくなる
「なんとなく抜歯」ではなく、このように数値を積み上げていくことで、自信を持って治療計画を立てられるようになります。
もちろん、これは一つの基準であり、顔貌や骨格的な要因も考慮する必要があります。ですが、この「14.1mm」という数字を頭に入れておくだけで、クリンチェックの見え方はガラリと変わるはずです。
ぜひ、日々の臨床の参考にしてください。
医療法人社団 杏壬会
池袋の歯医者さんみんなの矯正歯科・こども歯科クリニック
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院長 新渡戸 康希