マウスピース矯正における治療基準について 歯科医師として16年間診療してきた私の判断軸
2025.12.19
マウスピース矯正では
IPR
遠心移動
抜歯
といった選択肢をどう使うかで、治療結果が大きく変わります。
歯科医師によって考え方が分かれる分野でもありますが、
私は歯科医師として16年間の臨床経験を通じて、次のような基準で治療を行っています。
これは教科書的な一般論ではなく、
実際の成功例と失敗例の両方を踏まえて整理した判断基準です。
IPRと遠心移動の考え方
IPRや遠心移動は有効な手段ですが、万能ではありません。
当院では
IPRと遠心移動は、軽微な叢生を改善するためにのみ使用します。
前歯を下げるためのスペース確保としては使用しません。
前歯を下げる目的で無理にスペースを作ると、
歯列の安定性や審美性に問題が生じることがあるためです。
下顎前歯部叢生に対する基本方針
下顎前歯部の叢生、特に女性の場合、
中途半端な対応は失敗につながりやすいと考えています。
絶対に失敗しないための選択肢は、次の2通りです。
下顎両側4番抜歯
下顎切歯1本抜歯(最も前方にある歯)
症例によっては抜歯を避けたくなる場面もありますが、
長期的な安定性を最優先すると、この判断に至ります。
多量のIPRについての考え方
IPRが
0.5mm×11カ所
必要になる場合、当院では抜歯を選択します。
多量のIPRを行うことは禁止しています。
特にIPRが3回程度必要になりそうな場合は、積極的に抜歯を検討します。
短期的な見た目ではなく、
歯の健康と治療後の安定性を重視した判断です。
アタッチメント設置に関する考え方
アタッチメントについても、
付けられるから付ける
という判断は行いません。
当院では
1番は審美性
6番は脱離リスク
7番は除去困難および設置困難
という理由から、原則として付与しません。
治療効率だけでなく、
患者の負担や現実的なトラブル回避を考慮した判断です。
治療基準を明確にする理由
歯科治療にはさまざまな考え方があります。
どの考え方が正しいかではなく、
どの基準で判断しているかが明確であることが重要だと考えています。
当院では
治療を増やすことより
失敗しないこと
再発させないこと
を優先しています。
歯科医師として16年間、矯正治療および一般歯科治療に携わり、数多くの成功例と同時に、うまくいかなかった症例も経験してきました。歯科治療には複数の考え方が存在しますが、私は長年の臨床経験を通じて、失敗を避け、再発させないことを最優先にした判断基準を構築してきました。当院では治療方法ありきではなく、患者ごとの状態を冷静に評価し、その時点で最も安定性が高いと考える選択を行っています。これは教科書的な理論ではなく、日々の臨床の中で磨かれてきた実践的な判断です。
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