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矯正治療の抜歯基準はセファロ分析だけでは決められない 現代矯正における現実的な判断軸

みんなの矯正

2025.12.22

矯正治療における抜歯基準は、長年セファロ分析を中心に語られてきました。
中切歯の角度がどうであるか、上下顎の前後関係がどうであるか、それを改善するためにスペースが必要だから抜歯を行う、という考え方です。

しかし、現在の臨床現場では、セファロ分析のみで抜歯か非抜歯かを判断することはほとんどありません。
理由は明確で、実際の歯列は側貌だけでは成立していないからです。

矯正治療の抜歯基準はセファロ分析だけでは決められない 現代矯正における現実的な判断軸

私が抜歯基準を考える際に、必ず重視しているのは以下の要素です。

まず、アーチレングスディスクレパンシーです。
歯列弓の長さと歯の大きさの不調和を評価せずに、前歯の角度だけで抜歯を決めることはできません。
咬合面から見たときに、どの程度スペースが不足しているのか、あるいは本当に不足しているのかを確認することが前提になります。

次に、叢生量です。
叢生が強い症例では、そもそも歯が理想的に配列されません。
叢生の程度を無視した抜歯判断は、治療途中あるいは治療後に問題を生じやすくなります。

矯正治療の抜歯基準はセファロ分析だけでは決められない 現代矯正における現実的な判断軸

セファロ分析の中で、私が特に重視しているポイントがキーリッジです。
上顎第一大臼歯の近心頬側根がキーリッジ直下に位置しているかどうかは、歯列全体の安定性を考える上で極めて重要です。
これは単なる前歯の角度評価では見えてこない要素であり、実際の臨床判断に直結します。

 

また、抜歯は必ずしも上下左右の第一小臼歯4本である必要はありません。
従来型の考え方では、前歯を下げるために4本抜歯を行うケースが多く見られましたが、これはオーバートリートメントになることがあります。

アーチレングスディスクレパンシーを考慮せずに4本抜歯を行うと、抜歯スペースが余剰になりやすくなります。
その結果、スペースが完全に閉鎖されず、臼歯が近心傾斜して配列され、最終的に奥歯が十分に咬合しなくなるという問題が生じます。

矯正治療の抜歯基準はセファロ分析だけでは決められない 現代矯正における現実的な判断軸

このような理由から、必要なスペース量に応じて1本抜歯を選択することも合理的な判断です。
左右対称であること自体が目的ではなく、不足しているスペースを正確に補うことが抜歯の本質です。

 

さらに、IPRや遠心移動などを組み合わせ、
セファロ分析
キーリッジの位置
アーチレングスディスクレパンシー
叢生量
これらを総合的に評価した上で抜歯基準を決定します。

 

セファロ分析のみで抜歯基準を決める時代はすでに終わっています
現代の矯正治療において重要なのは、単一指標ではなく、複数の臨床要素を統合して判断することです。

このような考え方は教科書には詳しく書かれていません。
しかし、実際の臨床現場では、この判断の積み重ねこそが治療結果を左右します。

新渡戸先生の医院では、これらの基準をもとに、患者ごとに現実的かつ過不足のない矯正治療計画を立案しています。

 

 

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池袋の歯医者さんみんなの矯正歯科・こども歯科クリニック
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